2026年7月18日(土)・19日(日)、東京ドームシティ プリズムホールにて、三井不動産株式会社主催の「夏のわくわくキッズフェス2026」が開催されました。
アトリプシー/ART+3Cは、アフラック生命保険株式会社のブースに参画。今年は「アートをきっかけに、家族でがんについて話し合う時間を。」というテーマで、クイズ、展示、折り紙、アート制作までをひとつのコンセプトでつなぎました。
子ども向けイベントだからこそ、保護者に届く企画へ
がんは誰にとっても身近な病気である一方、日常の中で自分から関心を向けたり、家族で話したりする機会は、決して多くありません。そこで、子どもと一緒に楽しめる体験を入口に、保護者が自然に参加し、家族の会話が生まれる設計を大切にしました。
昨年は、がん経験者のアートに来場者がシールを貼り、ひとつの作品を完成させる参加型ワークショップを実施しました。今年はそこから一歩進み、アートそのものだけでなく、作品の背景にある「その人の言葉」や経験にも触れながら、がんを自分事として感じ、考える時間へと広げました。
会場で私自身が特に感じたのは、折り紙という身近な遊びが、想像していた以上に人と人との距離を縮めてくれるということでした。「がんについて話しましょう」と構えるのではなく、一緒に折り紙を折ったり、作品を眺めたりしているうちに、子どもたちの興味や将来の夢、ご家族のがん経験、検診のことまで、さまざまな会話が自然に生まれていきました。
がん経験者のアートが、勇気と希望の入口になる
会場で配布したチラシでは、保護者の方へ「アートをきっかけに。家族でがんについて話し合う時間を。」と呼びかけました。
アトリプシー/ART+3Cから届けたのは、がん経験者が自分の想いや痛みを表現したアートです。病気を説明するための図解ではなく、色やかたち、作品の背景にある物語を通して、その人が生きてきた時間に触れてもらうことを目指しました。
会場には、5名のアーティストの作品とプロフィールを掲載。「シャボン玉の龍」「光の律動―Rhythm of Colors」「ハーモニー」「デュオ・パレット」「元となるもの」など、それぞれ異なる経験から生まれた作品が並びました。
会場で手に取っていただいた折り紙も、すべてがん経験者のアートをもとにしています。文字を読むことがまだ難しい小さな子どもでも、まずは色や模様を楽しむことができ、その横で保護者が作品の背景を読む。そんな親子それぞれの入口をつくりました。
中には、折り紙をとても上手に折る小さなお子さんを見て、保護者の方が「こんなことが得意だったんだ」と初めて気づかれる場面もありました。褒めてもらった子どもが嬉しそうに笑い、それを見た保護者も笑顔になる。その様子を見ながら、私も思わず笑顔になりました。病気を知るイベントでありながら、そこには病気だけではない、家族がお互いを知る時間も生まれていたように思います。
共感した作品を選び、その人へ言葉を返す
今回の体験で大切にしたのは、「見る」だけで終わらないことです。
来場者は、作品とアーティストのプロフィールの中から、自分が心を動かされたものをひとつ選び、QRコードからメッセージを送ったり、付箋にメッセージを書いていただきました。送られた言葉は、参加したアーティスト本人へ届く仕組みです。描いた人の経験を知り、作品に触れ、自分の中に生まれた気持ちを言葉にして返す。そこには、啓発する側/される側という一方向の関係ではなく、知らなかった誰かの人生に少し触れ、その人へ思いを返す、小さな循環が生まれます。
「あなたの言葉が、きっと力になります。」―――アートが人と人の間に橋を架ける時間となりました。
「がんを知る」を、知識だけで終わらせない
今回は、がんに関する知識を伝えるだけでなく、アートと一人ひとりの物語を通して、家族の中に自然な会話が生まれることを目指しました。
子どもが色や模様に惹かれ、折り紙を手に取る。その隣で保護者が作品の背景にある言葉を伝える。クイズについて親子で話し、心を動かされた作品には、その作者へメッセージを送る。ひとつひとつは小さな体験ですが、それらを一つの流れとしてつなぐことで、「がん」という少し距離を置きたくなるテーマにも、無理なく触れられる場をつくることができたのではないかと感じています。
私自身、乳がんを経験していますが、自分の闘病経験を語ることそのものを活動の中心にはしていません。病気の経験には、言葉だけでは表現しきれない感情があります。また、病気を公表すること自体が難しく、自分の経験を安心して語ることのできない人もいます。だからこそ私は、直接言葉にできないものも含めて、アートを介して社会にひらいていくことに意味があると考えています。
今回、子どもたちや保護者の方々と実際に話す中で、アートの美しさが人を惹きつけ、折り紙という身近な体験が距離を縮め、その先に対話が生まれていくことを、あらためて実感しました。がんを知ることが、怖さを増やすことではなく、自分や大切な人について考えるきっかけになる。
アートから始まった小さな会話が、家族の中に残っていく。
アトリプシー/ART+3Cは、これからもアートを「説明するための素材」ではなく、人が感じ、話し、誰かの経験とつながるための媒体として活かしながら、さまざまな企業や地域との協働を通して、そんな場をつくっていきたいと思います。



































































































































































